A Retrospective Claims Database Study to Clarify Treatment Reality of Asthma Patients Before and After Referral to a Specialist
専門医への紹介前後の喘息患者の治療実態を明らかにするためのレトロスペクティブ請求データベース研究
目的
日本のガイドラインでは、コントロールが難しい喘息患者は専門医(アレルギー専門医および/または呼吸器専門医)に非専門医から紹介されることが推奨されている。本研究では、日本における喘息患者が専門医に紹介される際の臨床実践の現状を調査した。
患者および方法
本研究は、2016年1月から2018年12月までの健康保険請求データベース(Cross Fact)において、非専門医の施設から専門医の施設に紹介された喘息患者の後ろ向き観察コホート研究である。紹介された喘息患者は、1年間のベースライン期間中に4回以上の吸入ステロイド(ICS)を含む処方があり、喘息診断を受け、専門医の施設を訪れた患者と定義した。紹介前後の喘息増悪、維持治療、検査、および医療処置を分析した。
結果
2135人の患者のデータが抽出され、そのうち紹介コードのある420人を分析した。紹介前の喘息増悪患者の割合は50.2%(95%信頼区間 [CI]: 45.4–55.1%)であり、紹介後は37.4%(95% CI: 32.7–42.2%)に減少し、有意な減少が見られた(P<0.001; McNemar検定)。ICS単剤、長時間作用型β作動薬(LABA)、およびICS/LABAの処方割合は紹介後に減少したが、長時間作用型抗ムスカリン薬(LAMA)、ICS/LABA/LAMA、および生物製剤の処方割合は紹介後に増加した。紹介後にはより多くの喘息関連検査が実施され、スパイロメトリーの実施率は紹介前の16.4%から紹介後の51.4%に増加した。

Figure 3 Proportion of asthma patients with asthma exacerbation before/after referral in asthma patients referred from non-specialist to specialist in the physician-referred population. Notes: P-value of two-sided McNemar test in exploratory evaluation. Error bars denote 95% confidence intervals.
結論
本研究は、専門医への紹介後に喘息増悪が減少し、喘息治療が変化し、検査が増加したことを示している。これにより、専門医への紹介が喘息の管理を改善することが示唆された。
