Sociodemographic correlates with prevalence of comorbidities in patients with chronic obstructive pulmonary disease: a study from a Chinese National Survey
慢性閉塞性肺疾患患者の併存疾患の有病率と社会人口統計学的相関: 中国全国調査の研究
背景
慢性閉塞性肺疾患（COPD）患者において、併存疾患（合併症）の有病率が増加していることが報告されている。しかし、中国におけるCOPD併存疾患の全体的な有病率および社会人口学的要因との関連に関する最新の推計は不足しており、統一性に欠けている。本研究の目的は、中国全土のCOPD患者における併存疾患の社会人口学的要因との関連を調査することである。
方法
本研究は横断的研究であり、2020年5月から2022年4月にかけて実施されたEnjoying Breathing Programのデータを使用した。中国の17省（または相当する地域）からCOPD患者が参加した。1人あたりの併存疾患数に基づき、併存疾患のクラスターを分類した。単変量および多変量解析を使用して、年齢、性別、および他の指定された共変量を調整した上で、特定の併存疾患クラスターとCOPD患者の社会人口学的関連を特定した。また、テトラコリック相関解析を実施し、特定の併存疾患間の関連を評価した。
結果
合計3913人のCOPD患者が対象となり、そのうち1744人（44.7%）が少なくとも1つの併存疾患を有していた。25.4%が1つの併存疾患、12.9%が2つ、6.4%が3つ以上の併存疾患を有していた。最も一般的な併存疾患は高血圧（17.8%）、喘息（9.9%）、気管支拡張症（8.2%）、糖尿病（8.2%）、および冠動脈疾患（7.7%）であった。幅広い因子を調整したロジスティック回帰モデルでは、中国東部に居住し健康保険に加入しているCOPD患者は、併存疾患の発生確率が低いことが示された（オッズ比 [OR] = 0.70、95%信頼区間 [CI], 0.53–0.93からOR = 0.50、95% CI, 0.25–0.99）。一方で、80歳以上の患者ではリスクが増加していた（OR 1.43、95% CI 1.01–2.03）。さらに、mMRCスケールのすべてのカテゴリー（グレード1：OR = 1.30、95% CI, 1.02–1.65；グレード2：OR = 1.39、95% CI, 1.07–1.8；グレード3：OR = 1.67、95% CI, 1.23–2.26；グレード4：OR = 1.81、95% CI, 1.00–3.28）およびGOLD分類2（OR = 1.30、95% CI, 1.03–1.65）の患者ではリスクが高いことが判明した。これらの関連は、1人あたりの併存疾患数に関係なく一貫して観察された。テトラコリック相関では、上位5つの併存疾患間で負の相関が示され、その範囲は−0.03から−0.31であった（すべてのグループでp < 0.001）。
a) Tetrachoric correlations in pairwise comparisons of the top five comorbidities in patients with COPD (asthma, bronchiectasis, hypertension, coronary heart disease, and diabetes); p < 0.001 in all groups; annotation of the colours as follows: red for negative correlation and blue for positive correlation. b) Upset plots showed the patterns of comorbidities clusters based on the top five most common comorbidities in patients with COPD; annotation of the colours as follows (from left to right): dark red for patients with one comorbidity, dark blue for patients with two comorbidities, red for patients with three comorbidities, blue for patients with four comorbidities, and light red for patients with five comorbidities.
解釈
中国におけるCOPD患者では、併存疾患の有病率が非常に高く、加齢、高いmMRCスケールグレード、および肺機能低下が主要なリスク因子として挙げられる。COPDの併存疾患の複雑なメカニズムを解明するには、さらに大規模なサンプルサイズを用いた研究が必要である。
