花粉症の実態
管理人は30年来に及ぶ花粉症で、季節の良い春が少し苦手です。バイクでのツーリングもできず、キャンプに行ってもティッシュの箱を抱えながらのなんともなさけない状況に甘んじています。
そこで、国内外の花粉症事情について調べてみました。簡潔にまとめましたのでお付き合いください。

日本と海外における花粉症の実態は、地域特有の植物や環境要因、気候変動などにより異なります。本では、花粉症の有病率が年々増加しており、2019年時点で全体の42.5%、スギ花粉症で38.8%と報告されています。令和5年5月30日花粉症に関する関係閣僚会議決定230530_honbun.pdf
局地的には、山梨県や静岡県、埼玉県などでは、花粉症の発症率が60%を超えており、特に関東甲信や東海地方で高い傾向があります。その原因はスギ(日本柳杉)やヒノキが主な原因で、これらの花粉が大量に飛散する春先に症状が悪化します。
一方、海外の花粉症の実態はというと、USでは、ブタクサ(ragweed)が主要な原因植物で、約5,000万人が影響を受けています。 EUではイネ科の植物やブタクサが主な原因で、特に中央・東欧での影響が大きく、13.5万人のヨーロッパ人がブタクサによるアレルギーに悩まされています。オーストラリアでは約19.3%の国民が花粉症を患っており、2050年までに患者数が70%増加すると予測されています。ロシアでも春が短いにもかかわらず、4月から5月にかけて花粉の飛散が激しく、約4分の1のロシア人が植物を原因とするアレルギーで苦しんでいるそうで、各大陸で花粉症はコモンディジーズといえるでしょう。
トレンドとして、国内外共通で言えるのが、地球温暖化により花粉の飛散時期が早まり、期間も長くなっているようです。 また、都市部で大気汚染や都市化により、花粉のアレルゲン性が増し、症状が悪化する傾向があります。
日本における対策としては、以下の3つの主要な施策が進められています。
1.発生源対策:スギ人工林の伐採や花粉の少ない品種への植え替えを推進し、花粉の発生源を減少させる取り組みです。具体的には、令和15年度(2033年度)までにスギ人工林を約2割減少させることを目標としています。
経済産業省 METI Journal ONLINE
2.飛散対策:花粉飛散量の予測精度向上を支援するため、精緻化されたデータを民間事業者に提供し、予測の精度向上を図っています。
3.発症・曝露対策:個人の花粉症対策として、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法、皮下免疫療法)などの治療法の普及や、花粉曝露を軽減するための予防行動の周知が行われています。
ということで、現時点では「撲滅」という段階には至っていません。
その背景として、スギ林の面積が広すぎることが大きいと思います。日本には約450万ヘクタールのスギ人工林があり、そのうち約70%が花粉を多く出す「高樹齢林」。 伐採や花粉の少ない品種への転換は進んでいますが、植林→伐採→更新には数十年単位の時間がかかるため、即効性がありません。
治療としても、舌下免疫療法などは症状を軽減したり、発症を抑える効果はありますが、すべての人に効くわけではなく、継続的な治療が必要で治癒に至る人は一部です。
ということで、減らす可能性はありますが、「減らすのは相当な年月と手間がかかる」ので、そこにお金をかけるかどうかは政治的な判断となるでしょう。管理人の予想ではコストの面で、撲滅できないと考えています。
本当に鬱陶しいですが、うまく付き合うしかないというのが管理人の結論です。
