認知症を考える

​まず認知症について、少し誤解されていることがあるので触れたいと思います。そのそも認知症は症状の名前であって、病気の名前ではありません。頭が痛いとか、熱があるといった症状をあらわる言葉です。認知症の原因には下記の疾患があります。そのなかでアルツハイマー型認知症が6-7割を占めています。下記疾患を総称して認知症といわれることもありますので、ややこしいですよね。

アルツハイマー型認知症一番多い。記憶障害から始まり、徐々に進行。
脳血管性認知症脳梗塞などが原因。症状の出方にムラがある。
レビー小体型認知症幻視や体のこわばりが特徴。パーキンソン病に近い。
前頭側頭型認知症行動や感情のコントロールが難しくなるタイプ。

日本における全認知症の発症率(有病率)は、年齢の上昇とともに増加し、今後も高齢化の進行に伴って増加が予測されています。以下に、過去から将来にかけての推移を示します。​

出典:内閣府「高齢社会白書」および厚生労働省資料 3 高齢者の健康・福祉|平成28年版高齢社会白書(概要版) – 内閣府

核家族化が進み、高齢者のみの世帯が今後どんどん増えることが予想されます。つまり、老老介護が当たり前みたいになってきます(すでにそうなっているとも言えますが)、また、独居老人の現時点で約300万にいるとされ、そこで認知症が発症するれば、悲惨な結果につながる可能性が高いといえます。

なるべくなら、認知症になりたくないものですが、完全に防げる方法は現時点ではないです。

一般的に、あまり頭を使わない反復的な仕事(ルーチンワーク)や無職で家でボーっとTVをみるばかりだと、脳への刺激が少なくなるため、将来的に認知症のリスクが高まる可能性がある、という研究結果もあります。頭をよく使う職業(計画、判断、問題解決が多い)に就いていた人は、認知症の発症が遅れる傾向があります。
複雑な人間関係を伴う職業(教育、医療、営業など)も、脳の活性化につながるとされ、リスクが低くなる傾向が報告されています。だからといって、認知症予防のために職業を変えることも難しいでしょう。

ではどうすればよいか?認知症予防は「頭を使うこと」、脳も筋肉と同じように、使わないと衰えていく性質があります。逆に、適度に刺激を与えることで、神経のつながり(シナプス)が強化され、脳の機能が維持されやすくなることが研究で示されています。

効果があるとされる頭の使い方としては
読書、日記を書く
パズル(クロスワードや数独など)
新しいことを学ぶ(楽器、語学など)
他人と会話する(会話も複雑な脳の活動)
脳トレやゲーム
手先を使う作業(編み物、絵を描くなど)
ただし「頭を使うだけ」では十分ではありません。認知症のリスクは、頭の使い方だけでなく、下記のような生活習慣が大切です。

運動習慣の有無(ウォーキングなどは脳の血流をよくします)
食生活(地中海式ダイエットや和食などが効果的とされる)
睡眠の質
社会的つながり(孤独もリスクになります)
生活習慣病の管理(高血圧、糖尿病など)

これですべてが予防できるわけではありません。家族性アルツハイマー病のようなごくごくまれな場合は遺伝的な要素がかなり強いといえます。気になるようであれば、遺伝子検査でAPOEの型を調べることもできますが、「知ったからといって絶望する必要はない」ということは覚えておいてほしいです。

ほどんど場合は、上記のような生活習慣を送ることによりリスクを回避することができます。

管理人が思うに、TVを視聴するのは否定しませんが、ただ漫然とボケーとみるのはいかがなものかと思います。NEWS番組にしても解説者ならまだしも、コメンテーターが根拠なない意見を垂れ流しにして、それを「そうだよね」とか思いながら見るのは、かなりリスキーなのかなと個人的には思います。

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