実は迷信という、食・健康にまつわる例???
一般的に「常識」とされているものの中で、科学的根拠が薄い・誤解に基づいている事例がかなりあると思っています。長年の言い伝えや生活習慣の中で定着していますが、現代の研究では否定または疑問視されてい事例があるので少し取り上げたいと思います。
・「炭酸飲料を飲むと骨が溶ける」、信じている人は少数かもしれませんが、実際は通常の摂取量で骨が「溶ける」ことはありません。リン酸がカルシウムの吸収を阻害という話が一人歩きしていますが、よほど大量に摂らない限り健康被害は起こりません。
・「牛乳を飲めば背が伸びる」と信じられていますが、実際は栄養バランスや遺伝の影響の方が大きいはずです。牛乳はカルシウム源として有効ですが、単体で身長に大きな影響を与えるといえるエビデンスはありません。
・「寝る前に食べると太る」これもよく言われていると思いますが、実際は摂取カロリーと消費カロリーのバランスが重要で、時間帯はそれほど本質的な要因ではありません。ただし、睡眠の質には影響する可能性がありますのでご注意を。
・「和食は健康的である」とよく言われていますが、実際は和食は塩分が多く含まれることがあり、過剰な塩分摂取は高血圧や心疾患のリスクを高める一面があります。いまから50年ほど前の1975年頃の日本食は健康的とされていますが、現代の和食は欧米化が進み、必ずしも健康的とは言えないというのが正解だと思います。
・「炭水化物は太る」をいわれていますが、全粒穀物などの「茶色い炭水化物」は食物繊維が豊富で、適量の摂取は健康に良いとされています。炭水化物の種類や摂取量によって影響が異なるため、一概に炭水化物が太る原因とは言えません。ただ白米ばかり大量摂取だと問題かもしれません。

今回は根拠がない・薄い事例を紹介しましたが、「和食(Washoku)」はユネスコ無形文化遺産(2013)に登録され、米・魚・野菜・発酵食品中心、適量の油というパターンは冠動脈疾患リスクの低下と相関するというエビデンスがあります。発酵食品ブームの科学的裏付けとしては納豆のナットウキナーゼ、味噌の ACE 阻害ペプチドなどが血栓・高血圧予防に寄与するという報告もあります。
ただし、課題もあり、日本人の食生活は依然高い塩分と“新型栄養失調”と言われて久しいです。2019 年でも平均 9.9 g/日と WHO 推奨 (<5 g) を超過。若年層では高 Na × 高脂質の二重負荷がメタボを助長するといわれています。あなたはいかがでしょうか?
