占いは「科学」か?

まず、科学と呼ぶための最低条件を考えると、
再現可能な観測・実験があり、理論的な枠組みが自然法則と両立し、反証可能な予測を出し、結果が査読と追試に耐える。この 4 点を満たしてはじめて「科学」と見なされると思います。

では、占い一般(手相・タロットなど)の多くの占術は予言があいまいで、検証できる形に落とし込めるとはいえないですよね。検証しようとしても「当たった/外れた」の判定基準が占者側で可変になるため、厳密な再現性を欠いています。この時点で科学の枠組みから外れています。

    たとえばの話ですが、では占星術に「科学的アプローチ」はあるのか?を考察したいと思います。

    じつは、検証は昔から今日に至るまで試みられてきたようです。
    1985 Shawn Carlson 二重盲検テスト 一流占星術師 28名が116人の出生図を性格テストと突き合わせ 正答率は偶然と同程度で「占星術仮説を明確に否定」
    1990-s Dean & Kelly メタ解析 40件超・700占星術師・1000超チャート 一貫して有意差なし
    2024 国際再現試験(152名の占星術師) 12人の出生図を性格質問票とマッチング 正答率 < 33 %(ランダムと同水準)
    2024 チューリッヒ大 3000人調査 性格特性と星座の相関を統計解析 有意な相関は検出されず

      現時点での結論 ― 厳密な統計学的な検証では、占星術は「偶然より当たる」と立証されたことがないようです。

      ほかにも、星は少しずつ位置が変化している、すなわち春分点歳差(約26000年周期)が星座位置をずらしていますが、占星術の黄道十二宮は 2000年近く補正されていません。こうした基本物理・天文学との不整合が占星術では理論的枠組みを欠く証拠とされているのではないでしょうか。

      人の心理として「一部当たるように感じる」効果をバーナム効果といいます。誰にでも当てはまる曖昧表現を「自分だけの記述」だと思い込みやすいといわれています。さらに、確認バイアスという言葉はご存じでしょうか?当たった事例だけ記憶に残し、外れた例は忘れる。少なくとも私はそういうことはあると思っています。あとは、肯定的な占いを読むと実際にパフォーマンスが上がる実験もあるので、TVでの「今日の運勢」なんかは人気があるのではと思います。
      社会学・心理学の立場から信じる人の属性や自己認識・メンタルヘルスに与える効果を研究するのは非常に興味深いところです。占星術そのものではなく、占星術を信じる人間行動を対象にすれば立派な科学研究になりますね。

      表題の問いに関する、私の結論は、「占い全般は科学ではない。」ということです。娯楽の一種と考え、楽しむことが大切で、一喜一憂することではないように思います。

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