「挨拶」の本当の意味は？

私たちは日常のなかで何気なく「おはようございます」「こんにちは」といった挨拶を交わしていますよね。一見するとそれは単なる礼儀やマナーのように思えるかもしれません。しかし、実は挨拶には人間関係の根本を支える大きな意味が隠されていると思います。

よく「挨拶をすると感じがよい印象を与えられる」と言われています。それは決して間違いではありませんが、挨拶の本質はもっと深いところにありのではと愚考しています。挨拶とは、「私はあなたと関わる意思があります」「あなたの存在を認めています」というメッセージを、言葉と非言語で同時に伝えるショートメッセージだとおもいませんか。

つまり、挨拶は関係性の“スタートボタン”であり、無言の空間に橋をかけ、相手との心の距離を縮める第一歩です。たとえ言葉数が少なくても、きちんとした挨拶が交わされるだけで、「この人は自分に敵意がない」「安心できそうだ」と感じる土壌が生まれます。これは、ビジネスの現場でも、学校でも、家庭でも変わりません。昔から、年長者が若輩にたいして挨拶もできないの奴が多いと腹を立てることもありますが、これは、年齢ではなくどの年代でも失礼で挨拶もろくにできない人がいると思っています。普段、挨拶に目的など意識せずにしているかと思いますが、背景には大切な思いが無意識に込められているもだと思っています。

また、挨拶には場の空気を整える力もあります。緊張していた空間が、たった一言の「おはよう」でやわらぐことがあります。無言のまま始まる会議と、笑顔の挨拶から始まる会議では、話し合いの質さえ変わってくると思います。

さらに、挨拶は「私はこの社会のルールを共有する一員です」というシグナルでもあります。初対面の場で挨拶をしない人に対して、多くの人が不安や不信感を覚えるのは、私たちが無意識のうちに「挨拶＝最低限の信頼構築行為」と認識しているからです。

人間関係を築くうえで、信頼・共感・理解などの深い要素が重視されるのはもちろんですが、それらの“中身”を見てもらうには、まず“入口”が開かれていなければなりません。その入口こそが、挨拶です。

挨拶を大切にすることは、相手に対する礼儀であると同時に、自分自身の人間性を表現する最初の機会でもあります。改めて、「挨拶する」という当たり前の行為の意味を考えてみると、私たちの日々の関わり方にもきっと変化が生まれるはずです。

一方で、だからといいて、そんなに深く考えなくても、自分が気持ちよくなればよいと思いもあります。それによって相手との関係が円滑になり、社会的なつながりが育まれるなら、それはむしろ健全で、人間らしい営みと言えるではないでしょうか。