Healthcare professionals’ perception of the ketogenic diet among patients with chronic obstructive pulmonary disease: a cross-sectional study
慢性閉塞性肺疾患患者におけるケトン食療法に対する医療専門家の認識:横断的研究
バックグラウンド:慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、持続的な炎症と気流の制限を特徴とする進行性の呼吸器疾患である。ケトジェニックダイエット(KD)は、その抗炎症特性で知られており、COPD管理に潜在的な治療上の利点がある。しかし、特にサウジアラビアでは、COPDケアにおけるKDの有効性と適用性に対する医療専門家の認識は、まだ十分に調査されていない。
メソッド:2024年6月から9月にかけて、COPD管理に携わる医療従事者を対象に、横断的なオンライン調査を実施した。この調査では、KDの利点、制限、および現在の栄養習慣についての認識を評価した。JASPを使用して記述統計とロジスティック回帰分析を実施し、KDトレーニングの摂取の予測因子とCOPD患者との食事介入について話し合う可能性を特定した。
結果:調査には延べ1,068名の医療従事者が参加した。これらのうち、58%はKDがCOPD患者の生活の質を向上させることができると考えており、61%は炎症を軽減する可能性を認めていた。ロジスティック回帰では、KDトレーニングを受けるための有意な予測因子として、KDへの親しみやすさが特定された(p < 0.001)。便秘や脱水症などのKDの副作用に関する懸念は、回答者の76%が指摘した。KDを推奨したと回答したのはわずか14%で、エビデンスが不十分で専門的なトレーニングが不足していることが主な障壁であると述べている。さらに、74%がKDの制限的な性質と潜在的な副作用による患者のアドヒアランスの課題を強調された。
結論:KDは、炎症を調節し、症状管理を改善することにより、COPDの補完療法として有望である。エビデンスが限られていることや専門的なトレーニングが不十分であることなどの障壁に対処することが不可欠である。COPDケアにおけるKDの有効性と安全性を確立するには、さらなる研究が必要である。
管理人注:ケトジェニックダイエット(KD)は、糖質(炭水化物)の摂取を大幅に制限し、その代わりに脂質を主なエネルギー源とする食事療法です。もともとは1920年代にてんかん治療の一環として医療現場で導入されましたが、近年では減量や代謝改善を目的とした食事法として注目を集めています。
通常の食事では、炭水化物が体内でブドウ糖に変わり、主なエネルギー源として使われます。しかし、ケトジェニックダイエットでは糖質の摂取量を1日20〜50g程度まで抑えることで、肝臓が脂肪を分解してケトン体を生成し、それを代替エネルギー源として利用します。この状態を「ケトーシス(ketosis)」と呼びます。
この代謝変化により、体脂肪の分解が促進され、体重減少や血糖値・インスリン感受性の改善などの効果が期待されます。また、一部の研究では、KDが2型糖尿病、アルツハイマー病、がん、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)などにも一定の効果を示す可能性があると報告されています。
一方で、長期的な安全性や栄養バランスに関する課題も指摘されており、ビタミンやミネラルの不足、便秘、口臭、脂質異常などの副作用が報告されています。したがって、実践する場合は医師や栄養士の指導のもと、計画的に進めることが推奨されます。
