虚血性心疾患・心不全、閉塞性呼吸器疾患、貧血などの診断・経過観察で「息切れはありませんか?」と問うのは適切か?

「息切れありませんか」という質問は、医師が患者の健康状態を評価するための適切な初歩的なステップとして非常に有用です。しかしながら、「息切れありませんか?」という質問のみに頼ることは、実際には患者が身体活動性を制限して息切れを避けているという現実を見逃すリスクがあります。患者が労作(家事や入浴、買い物、外出、運動など)を控えることで息切れを避ける場合、疾患の存在や進行、およびそれが生活の質に与える影響を正確に把握することが難しくなる可能性があります。

したがって、患者が「息切れはない」と回答したときは、医師は以下のような質問も行い、患者の身体活動性や健康関連QOLに関する情報をより正確に把握することが重要です:

  1. 運動耐容能・身体活動性に関する質問:
    • 「大きな道路の信号を1回の青信号で渡り切れますか?」
    • 「外出時、どのくらいの距離を歩けますか?」
    • 「階段の上り下りに困難を感じますか?」
    • 「TVを見ている時間はどのくらいですか?」(座位の時間推定)
  2. 生活の質や活動制限に関する質問:
    • 「外出は苦になりませんか?」
    • 「日常生活で諦めていることはありますか?」
    • 「過去と比べてどのようなことが難しくなった、またはできなくなったと感じますか?」
  3. 症状の詳細や背景に関する質問:
    • 「息切れを感じるようになったのはいつからですか?」
    • 「動くと息切れを感じるので、息切れがでないようにしていませんか?」

このような詳細な問診を行うことで、患者が身体活動性を制限している背景や原因、疾患の実際の影響をより正確に理解することができます。特に慢性的な疾患や複数の健康問題を持つ患者の場合、総合的で詳細なアセスメントが非常に重要となります。もちろん、すべて問う必要はありませんが、継続的に状況を把握する必要はあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です