A New Global Definition of Acute Respiratory Distress Syndrome

A New Global Definition of Acute Respiratory Distress Syndrome (atsjournals.org)

背景: ARDSの診断基準は、1994年に初めて「American-European Consensus Conference(AECC)定義」が策定され、2012年のベルリン定義による急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) 以降、高流量鼻酸素 (HFNO) の使用、動脈血ガスの代わりに脈拍酸素飽和度の使用が増加、超音波を用いた胸部画像の取得、資源に限られた環境での適用可能性など、定義の拡大を支持するいくつかの動向があった。

方法: 32人のARDS専門の集中治療医からなる合意会議が召集され、2021年6月から2022年3月までの間に6回のバーチャル会議を持ち、その後、いくつかの集中治療学会のメンバーからの意見を取り入れた。

目的は以下の定義を開発することであった:

(1) 現在受け入れられているARDSの概念フレームワークの患者を特定する;

(2) 臨床治療と研究のための迅速なARDS診断を促進する;

(3) 資源に限られた環境で適用可能である;

(4) 特定の治療法の試験に役立つ;及び

(5) 患者や介護者へのコミュニケーションに実用的である。

結果: 委員会は4つの主要な推奨事項を行いった:

(1) 最低流量が30リットル/分以上のHFNOを含む;

(2) 低酸素血症を特定するために、動脈酸素分圧 (PaO2)/FiO2 ≤ 300 mmHg または SpO2/FiO2 < 315 (SpO2 ≤ 97% の場合) を使用する;

(3) 画像診断の基準としての両側の不透明性を保持するが、特に資源に限られた地域での超音波を画像手段として追加する;

(4) 資源に限られた環境では、PEEP、酸素流量、特定の呼吸サポートデバイスを要求しない。

結論: ベルリン定義を基にした新しいグローバルなARDSの定義を提案します。この推奨事項は、提案されたグローバル定義の実施可能性、信頼性、予後の妥当性の前向きな評価を含む、将来の研究のための領域も特定している。

管理人より

原文のサマリーを和訳すると上記になりますが、わかりずらいので解説しますと、新しい定義の要点は以下の通りです:

  1. 高流量鼻酸素の使用: 以前の定義には含まれていなかった高流量鼻酸素(HFNO:30リットル/分以上)が、新しい定義ではARDSの診断基準に取り入れられています。
  2. 酸素飽和度の基準の変更: 低酸素血症の証明に動脈血ガスの代わりに脈拍酸素飽和度(SpO2)を使用することで、資源が限られた状況や緊急時でも診断が容易になります。
  3. 胸部エコーの導入: 胸部X線やCTスキャンの代替や補完として、超音波を診断の一部として使用することが提案されています。これは、特にリソースが限られた場所での診断に有用です。
  4. 資源に限られた設定の考慮: 新しい定義は、特定の機器や技術が利用できない環境でもARDSを診断するための柔軟性を持つように設計されています。

新しい定義は、診断の実践性を高め、資源の限られた環境での利用を容易にすることを目的としています。そして、今後の研究や治療法の評価のための基準としても使用されることが期待されています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です