いまさらですが、気管支喘息やCOPDは症候群?ヘテロな疾患?
「症候群」とは、特定の症状や徴候が一定のパターンで現れることを指す言葉です。症候群は特定の原因や病態が明確でないことが多いです。一方、喘息やCOPDは、それぞれの疾患が持つ特定の病態や原因、症状に基づいて診断されますので、症候群としてとらえるのは誤っています。
「ヘテロな疾患」という言葉は、疾患が異なる原因、症状、経過、治療応答などの多様性を持つことを指すことと捉えています。この考え方は、特定の疾患が一つの明確な原因や症状に限られず、多様な要因や表現形式を持つことになります。
そういった意味では、喘息やCOPDは以下の特徴を持っているヘテロな疾患と考えてよいのではないでしょうか。
- 原因の多様性:同じ疾患でも、その発症原因は小児期のエピソード、遺伝的要因、環境要因、生活習慣など、複数の原因が考えらます。
- 症状の多様性:患者ごとに症状の種類や重症度が異なっている。例えば、COPDは、無症状の患者もいれば、咳・痰の症状が強い、あるいは生活に支障がでるような息切れとかさまざまな症状がありますが、その表現は患者ごとに異なります。
- 治療応答の多様性:同じ治療法でも、患者ごとに効果や副作用が異なることがあります。また、異なる治療が奏功する場合もあります。
- 経過の多様性:疾患の進行速度や経過が患者ごとに異なることがあります。
このような「ヘテロな疾患」の考え方は、これからは「個別化医療」や「精密医療の重要性」を強調するものではないでしょうか。それぞれの患者に最も適した治療やケアを提供するために、疾患の多様性を理解し、それに応じて対応することが求められる傾向となりそうです。一方、こういった傾向は一般医にとっては、歓迎できない(治療が複雑化)ことになり、臨床の場ではどこに落としどころを設定するかが重要となると思います。喘息では実践的なガイドラインがすでに公表されていますが、COPDにおいても実践的なガイドライン作成する動きがあり、関心度、期待度は高いと思われます。
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