Clinical inertia in asthma

https://www.nature.com/articles/s41533-023-00356-5

喘息における臨床的惰性(クリニカルイナーシャ)*

*管理人注:治療目標が達成されていないのに、治療が適切に強化されていない状態をいいます。

背景: 近年の薬物治療の進歩にもかかわらず、喘息患者のかなりの割合が適切な喘息のコントロールを維持できていない。これにより、慢性的な障害、QOLの低下、多数の救急外来訪問や入院が引き起こされている。

臨床的惰性 (CI) は: 喘息の管理に関する問題を克服するための多面的なアプローチが必要であり、CIはこのアプローチを進めるための重要な概念である。CIは医療提供者関連、患者関連、および医療制度関連の3つの主要なカテゴリに分けられる。

  • 医療提供者関連のCI:
    • 時間制約: 喘息の診療において、患者教育に十分な時間が割かれていないことが一因として挙げられる。喘息は環境要因が大きい疾患であるため、医療面接に十分な時間を割く必要がある。
  • 患者関連のCI:
    • 喘息コントロールの不適切な自己評価: 多くの患者は自分の喘息が適切にコントロールされていないことを認識していない。一部の患者は喘息であることすら否定している。
    • 治療薬に対する誤解: 患者が治療薬に対して持つ認識がCIの一因となっている。これは主に薬の副作用や有害作用に対する避ける態度や誤解に関連している。
    • 喘息治療に関連する費用の懸念: 治療費の問題は患者関連のCIに寄与する第三の要因である。
  • 医療制度関連のCI:
    • 臨床実践ガイドラインの非遵守: GINAは毎年更新される国際的な喘息治療のガイドラインであり、多くの国で喘息のガイドラインが開発されている。
    • 多職種による共有意思決定の欠如: 喘息患者のQOLを確保するためには、医療従事者が積極的に共有意思決定に参加する必要がある。
  • CIを克服するための方法:
    • 多職種によるアプローチ: 喘息ケアにおいて、医師だけでなく、薬剤師、看護師、その他の医療従事者による総合的なアプローチが必要である。
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  • 管理人より:本論文の著者は、山梨赤十字の福田先生、ラストオーサーが昭和大学の相良先生です。

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