インフルエンザの何が怖い?
2023年は通常より早く流行し、全国の保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校において休校、学年閉鎖、学級閉鎖が相次いでます。また、私の同僚も何人か罹患していますので、小児だけでなく成人でも流行しはじめていると思われます。詳しい情報は、国立感染症研究所のホームページをご覧ください。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-flulike.html
インフルエンザ(influenza)は、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症ですが、「一般のかぜ症候群」とは分けて考えるべき「重くなりやすい疾患」といえます。多くの場合、軽度から中等度の症状を引き起こします。具体的には突然高熱、悪寒、筋肉痛、頭痛、咳、のどの痛みなどの症状が現れます。ただ、感染力が強く、咳やくしゃみによって空気中に拡散し、他人に感染する可能性がありますので、感染した可能性がある場合は外出を控える必要があります。
インフルエンザの怖さは、重篤な合併症を引き起こすことがあることです。インフルエンザによる合併症は、個人の健康状態や年齢、基礎疾患の有無によって異なりますが、特に高齢者、幼児、妊婦、慢性疾患を持つ人々、免疫系が弱っている人々にとって深刻な問題です。
・肺炎 (Pneumonia)はインフルエンザウイルスによる直接の感染、または二次的な細菌感染によって引き起こされます。インフルエンザによる肺炎は、特に高齢者や基礎疾患を持つ人々において、入院や死亡の主要な原因です。インフルエンザの季節には、肺炎による入院率が顕著に増加することが報告されています。
・気管支炎 (Bronchitis)は気管支の炎症で、咳や呼吸困難を引き起こします。インフルエンザ後の気管支炎は一般的であり、特に喫煙者や慢性呼吸器疾患を持つ人々に多く見られます。
・副鼻腔炎 (Sinusitis)は副鼻腔の炎症で、頭痛や顔面の圧痛を引き起こします。インフルエンザによる副鼻腔炎は比較的一般的であり、多くの場合、抗生物質による治療が必要です。
・心筋炎 (Myocarditis)は 心筋の炎症で、胸痛や不整脈を引き起こすことがあります。インフルエンザによる心筋炎は比較的まれですが、発生した場合は重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
・脳炎/脳症 (Encephalitis/Encephalopathy)は 脳の炎症や機能障害で、意識障害やけいれんを引き起こすことがあります。インフルエンザ関連の脳炎や脳症はまれですが、特に小児において重篤な結果をもたらすことがあります。
・敗血症 (Sepsis)は全身に広がる重度の感染症です。インフルエンザによる敗血症は非常にまれですが、発生した場合は高い死亡率を伴います。
このような事態に陥る前に、インフルエンザのワクチン接種による予防が重要です。高リスク群における重篤な合併症のリスクを減少させることが示されています。また、インフルエンザの症状が現れた場合は、早期に医療機関を受診し、必要に応じて抗ウイルス薬の治療を受けることが推奨されます。
つまり、予防接種や早期の医療介入が重要ということです。また、インフルエンザの流行期には、COVID-19感染症と同様に、手洗いや咳エチケットなどの基本的な感染予防策を実践する必要があります。
