冬になると体の免疫機能は低下するのか?
呼吸器の病気は低温・乾燥の冬に増える傾向があります。具体的には、冬には風邪、インフルエンザ、肺炎などの呼吸器の病気が増える傾向にあるのは実感されていることでしょう。
その一因となっているのが、気温の低下です。低温が体の免疫機能に悪影響を与えるという報告があります。では、その背景にはどんなことがあるのでしょうか?
- 血流の変化
低温環境では、体は熱を保持しようとして血管を収縮させます。これにより、末梢部への血流が減少し、免疫細胞が体全体に行き渡りにくくなる可能性があります。特に、皮膚や呼吸器系などの外部に近い部位での免疫応答が低下することがあります。 - 免疫細胞の活動性の低下
低温は免疫細胞の活動性を低下させることがあります。特に、白血球の一種である好中球やマクロファージなどの食細胞の働きが低下することがあります。これらの細胞は、体内に侵入した病原体を捕食・破壊する役割を担っているため、その機能が低下すると感染症に対する抵抗力が弱まります。 - ストレスホルモンの増加
寒さは体にストレスを与えることがあり、ストレスホルモン(例えばコルチゾール)の分泌を増加させることがあります。コルチゾールは免疫系に抑制的な影響を与えることが知られており、長期間のストレスは免疫機能を低下させる可能性があります。 - 栄養素の代謝の変化
低温環境では、体温を維持するためにエネルギー消費が増加します。これにより、免疫機能に必要な栄養素(例えばビタミンやミネラル)が他の代謝プロセスに使用され、免疫機能が低下する可能性があります。 - 行動の変化
寒い季節には、屋外での活動が減少し、運動不足になることがあります。適度な運動は免疫機能を高める効果があるため、運動不足は免疫機能の低下につながる可能性があります。
これらの要因により、低温環境は体の免疫機能に様々な影響を与える可能性があります。ただし、これらの影響は個人差があり、また他の要因(栄養状態、睡眠、ストレスレベルなど)にも影響されるため、一概には言えません。
このほかに冬場になると、空気の乾燥に伴い、気管支粘膜の乾燥がすすむことにより、ウイルスや細菌が侵入しやすくなり、感染症が発生しやすくなります。また、寒い季節には外出が減少し、室内で過ごす時間が増え、密閉された空間での人との接触が増えます。これにより、感染症が広がりやすくなります。
まとめ:低温は免疫能低下やその他の理由により、冬には風邪、インフルエンザ、肺炎などの呼吸器感染症が増えるということです。そのため、冬には手洗いやマスクの着用、十分な栄養と休息を取ることをお勧めします。
