COPDのスティグマ(偏見)
医療におけるスティグマ(stigma)は、特定の病気や状態に対する社会的な偏見や差別を指します。これは、患者が経験する不公平や偏見に基づく扱いであり、しばしばその人の病気や状態に関連しています。スティグマは、患者の治療へのアクセス、治療の質、そして全体的な健康結果に悪影響を及ぼすことがあります。
たとえば、精神疾患を持つ人々はしばしば、危険である、予測不可能である、または「狂っている」というレッテルを貼られることがあります。また、HIV/AIDS患者は、しばしば社会的な排除や差別の対象となり、病気が「自己責任」であると見なされることがあります。このほか疾患でもスティグマは存在しますが、表題のCOPDでもスティグマは存在するようです。
COPD患者は、自己管理が不十分、禁煙できない残念なヒト、病気が「自己責任」であるというレッテルを貼られることがあります。 このスティグマは、患者が治療やサポートを求めることを妨げ、病状の管理や改善の機会を失わせる可能性があります。とくに、COPDでは患者自身がそう思ってしまうケースも多々あります。
スティグマへの対処方法
- 教育と啓発: COPDの原因、進行、治療に関する正確な情報を提供し、誤解を解消する。とくに、進行が緩徐なことが多く「死に至る病(世界における死因の第3位)」であることは理解してもらう必要があります。
- 患者中心のケア: 診療ガイドラインに準拠した治療も大切ですが、それを踏まえたうえで患者一人ひとりのニーズに焦点を当て、個別の治療計画を立てことが重要です。
- サポートグループの活用: 患者が経験を共有し、相互支援を受けられるサポートグループを提供する。内容としては定期的なミーティングを開催して、呼吸法のワークショップ、運動療法のセッション、栄養に関するアドバイス、ストレス管理のテクニックなどを提供しています。これは、地元の医療機関や患者支援団体(日本GOLD委員会:COPD(慢性閉塞性肺疾患)情報サイト GOLD-jac.jp)やオンラインコミュニティなどで提供されています。
- 医療提供者のトレーニング: 医療提供者に対して、偏見のないケアを提供するためのトレーニングを実施する。
すでに、COPDは医学会、薬学会、製薬企業、マスコミ、行政などが啓発活動取り組み、来年度から始まる「健康日本21(第三次)」にも取り上げられている重要な疾患です。呼応言った取り組みはスティグマを減少させることにもつながります。患者が必要な治療を受け、病状の管理して改善する、患者の尊厳を守り、質の高いケアを提供することが、医療提供者の重要な役割と考えています。
