溶連菌感染症過去最大レベルに

国立感染症研究所の第46週(11/13-19)速報データによると、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点あたりの報告数は3.79。前週比で約1.13倍の増加となりました。全国的に患者が発生していますが、エリア別にみると北海道・関東地方・九州地方で患者が多いと報告されています。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(Streptococcal pharyngitis)は、A群β溶血性レンサ球菌(Group A Streptococcus、GAS)によって引き起こされる感染症です。この病気は主に咽頭(のど)に影響を及ぼし、子供や若年成人に多く見られます。

主な症状としては、のどの痛み(急激に始まることが多い)、発熱、咽頭発赤(白い斑点が見られることもある)、頭痛、吐気・嘔吐(特に子供に見られる)、耳下リンパ節腫脹などがあります。ただ、発熱に関しては、子供の場合、高熱がより一般的ですが、成人では、発熱が軽度であるか、または全く発熱しない場合もあります。

診断は、医師が咽頭の状態を観察し、迅速抗原検査するのが通常ですが、迅速検査が陰性の場合や確定診断が必要な場合には培養検査を行います。

治療は、ペニシリン系の抗生物質(ABPC、AMPCなど、)が一般的ですが、アレルギーに注意が必要です。あと、痛みや発熱を和らげるために、アセトアミノフェンやイブプロフェンやロキソプロフェンなどが処方される場合が多いです。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の合併症は、適切な治療を受けない場合に発生する可能性があります。ただし、現代の医療環境下では、これらの合併症は比較的まれです。主な合併症には急性リウマチ熱と急性糸球体腎炎があります。

急性リウマチ熱は小児(5-15歳)で一般的であり、未治療のA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者の約0.3%〜3%で発生すると推定されています。急性糸球体腎炎も主に子供に見られ、男の子に多い傾向があります。

かぜの原因の9割以上はウイルス感染ですが、一部に溶連菌ようれんきんなどの細菌やマイコプラズマ、クラミジアが関係します。ウィルス感染なら対症療法と安静、電解質補給でたいていは対処できますが、細菌感染の場合は抗菌薬による治療が必要となります。まれではありますが、合併症の懸念もありますので、喉が痛い場合は発熱の有無にかかわらす早めに医療機関で診察してもらうことをお勧めします。

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