COPD患者は呼吸商が低い食事をとるのが良いのか?

呼吸商( respiratory quotient; RQ)ってあまり聞きなれないかもしれませんが、ある時間において生体内で栄養素が分解されてエネルギーに変換するまでの酸素消費量に対する二酸化炭素排出量の体積比のことをいいます。3大栄養素で言うと、

炭水化物:1.0
タンパク質:0.8
脂質:0.7

体内では、糖質、タンパク質、脂質が燃焼するので呼吸商は通常1.0~0.7の間を移動しますが、空腹かつ安静時には脂質が優先して燃焼するため、呼吸商は0.75~0.80程度で、糖質を摂取したり運動量が大きくなったりすると、糖利用が増加するため、呼吸商は1.0に近づき、さらに激しい運動の際には1.0を超えることがあります。これは、乳酸生成で体内がアシドーシスになるため、これを調節するために、二酸化炭素が排出されます。

さて、表題のCOPD患者において、呼吸商の観点から食事を考慮することは重要だといわれとぃます。COPD患者では、過剰な炭水化物摂取は二酸化炭素の産生を増加させ、呼吸困難を悪化させる可能性があります。そういった背景でCOPD患者においては、脂質を適度に含む食事が推奨されることがあります。これは、同じエネルギー量を摂取しても、二酸化炭素の産生が少なく、呼吸の負担を軽減するためです。では、脂質だけ取っていればいいのかというと、COPD患者は筋肉量の減少や栄養不良のリスクが高いため、適切なタンパク質の摂取も重要だといえます。

したがって、脂質だけ取ってればよいという簡単なことではなく、COPD患者の栄養管理においては、全体的な栄養状態、エネルギー需要、患者の好みや生活習慣を考慮した総合的なアプローチが重要といえます。残念ながら、すべての医療機関が栄養士と連携し、患者一人ひとりに合った栄養計画を立てることは難しいのが現状です。

では、どうすればよいのか?COPD患者に限ったことではないですが、まずは偏食を避けることが重要です。加工食品や高脂肪、高糖分の食品は控えめにします。そして、一日に数回の小分けの食事をとることで、消化を助け、エネルギーを均等に供給できるといわれています。調理方法は揚げ物よりも焼き物、蒸し物、煮物などを選ぶのがいいでしょう。ただ、個人の好みもありますので、たまには揚げ物をとっても問題はありません。あとは、十分な水分摂取は、全体的な健康維持に不可欠です。具体的には成人男性で純粋な飲料水としては、一日に約3リットル(約12カップ)、女性では一日に約2.2リットル(約9カップ)が目安とされています。これに関しても食事と同じで過剰摂取には気を付ける必要があります。水中毒(水過剰症)と呼ばれる状態を引き起こす可能性があります。個人差はありますが数時間で3-4L摂取するとリスクが上がるといわれています。水中毒は、体内の水分と電解質のバランスが崩れることによって起こります。ナトリウムの濃度が異常に低下する低ナトリウム血症が主なリスクです。特に心疾患、腎疾患、肝疾患などの健康問題がある場合や、特定の薬を服用している場合は、医師の指導に従って水分摂取量を調整することが重要です。

結論はバランスの取れた食事をするという当たり前のことをお勧めすることになりますが、意外とバランスの取れた食事をするのは難しいと管理人は感じています。おすすめは、面倒くらいかもしれませんが、食事の内容、量、摂取時間などを記録します。食事記録をつけることで、栄養摂取のバランスを把握しやすくなります。最近では食事管理をスマートにできる無料アプリなどがあるので活用してみたらいかがでしょうか?

おすすめのアプリは、以下の二つです。

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