小児喘息のアウトグローについて
小児喘息の「アウトグロー」つまり成長に伴い喘息の症状が改善または消失する割合は、研究によって異なりますが、一般的にはかなりの割合の子どもたちがこの現象を経験します。
多くの研究では、小児期に喘息を発症した子どもたちの約半数から70%が青年期までに症状が改善すると報告されています。
表現型としては、
早期発症型喘息が生後初期に発症した喘息は、学齢期までに症状が消失することが多いとされています。
アトピー性喘息(アレルギー体質と関連する喘息)を持つ子どもたちは、非アトピー性喘息を持つ子どもたちよりもアウトグローする可能性が低いとされています。
また、軽度の喘息の場合、症状が改善する可能性が高いですが、重度の喘息の場合は成人期にも症状が続くことがあります。
これらの統計は一般的な傾向を示していますが、個々の子どもにおける喘息の経過は多様であり、多くの要因(遺伝的素因、環境要因、アレルギー状態、治療の応答など)によって影響を受けます。したがって、アウトグローの可能性を正確に予測することは難しく、定期的な医療評価と個別の治療計画が重要です。また、喘息が改善したとしても、将来的に再発する可能性があるため、継続的なフォローアップが推奨されます。
では、どのような機序でアウトグローするのでしょうか?少し調べてみましたが、正確な機序は完全には解明されていないようです。ただ、いくつかの要因が関与していると仮説があるので少し紹介します。
・気道の成熟の影響:幼少期には気道が狭く、敏感であるため、炎症や刺激に対して反応しやすい。成長に伴い、気道のサイズが大きくなり、構造が成熟することで、症状が改善することがある。
・疫系の変化:子どもの免疫系は成長とともに発達し、変化する。幼少期の過敏な免疫反応が、年齢とともに正常化することがある。
・環境因子への適応:幼少期にはアレルゲンや刺激物に対する反応が強いが、時間とともにこれらの因子への耐性が発達することがある。
生活習慣の変化:運動や栄養状態の改善など、生活習慣の変化が喘息の症状に影響を与えることがある。
遺伝的要因:喘息の発症と経過には遺伝的要因が関与している可能性があり、これがアウトグローに影響を与えることも考えられる。
このような機序が交錯してアウトグローにつながっている可能性があるといわれています。
可能ならば全員アウトグローさせてあげたいところですが、現実はなかなか難しいところです。なるべく早く治療すればよいのではという考えを持たれるかもしれませんが、総じて、早期治療介入は喘息の症状管理と肺機能の保護には非常に重要ですが、これがアウトグローを保証するものではないというのが現在の一般的な見解です。
