日本の食物自給率について
日本人が餓死するケースは滅多にないと思いますが、実際のところ食物自給率はどうなっているのか気になって調べてみました。
日本の食物自給率は、国内で消費される食料のうち、どれだけが国内で生産されているかを示す指標です。この率は、国の食料安全保障の観点から重要視されています。食物自給率が低いということは、外国からの食料輸入に大きく依存していることを意味し、国際情勢や災害などによる輸入停止が食料供給に大きな影響を及ぼす可能性があります。
食物自給率は、カロリーベースと生産額ベースの2つの方法で計算されることが一般的です。
カロリーベースの食物自給率は、国内で消費される食料のカロリーに占める国内生産のカロリーの割合で、日本の場合、この数値は比較的低い傾向にあります。2023年4月時点での最新のデータによると、日本のカロリーベースの食物自給率は約38%前後で推移しています。これは、日本が食料の大部分を輸入に頼っていることを意味します。

生産額ベースでは、国内で消費される食料の生産額に占める国内生産の生産額の割合で計算されます。この方法で計算される自給率はカロリーベースよりも高く、60%台後半から70%前後で推移していることが多いです。これは、高価値な農産物や畜産物が国内で多く生産されているためです。
次に、品目別に自給率を見てみましょう。(ここでは、重量ベースの自給率を用いています。)
日本人が昔から食べてきた米や野菜、魚介類の自給率は、それぞれ米97%、野菜79%、魚介類52%と比較的高くなっています。これは昔から食べていた分、生産基盤や生産技術が受け継がれていることや、生鮮野菜は長期保存ができず輸入が難しい、魚介類は国内で新鮮なまま流通できるといった理由も考えられます。
畜産物の自給率は、牛肉35%、豚肉49%、鶏肉64%、鶏卵96%、牛乳・乳製品59%となっており、これは国内で生産している割合を示しています。
ただし、家畜はとうもろこしや牧草などの飼料を毎日必要とします。飼料の多くは外国から輸入されているため、飼料の自給率は畜産物全体で25%となっています。この自給率を考慮した数値が右側の括弧付きの数字です。
例えば、牛肉の自給率は「35%(9%)」と記載されていますが、これは、牛肉の「35%」は国内で生産されていますが、国産の飼料を食べて純粋に国内で生産された牛肉は「9%」ということです。畜産物の自給率は、飼料自給率を考慮に入れるとずいぶん低い数字になることが分かります。
小麦や、油脂類・飼料の原料となる大豆、菜種、とうもろこしなどは、日本の限られた農地では大量に生産するのが難しく、生産に適した気候で広大な農地を有する国(アメリカ、オーストラリア、カナダ、中国など)で大規模に生産されたものが輸入されており、自給率はそれぞれ小麦16%、大豆6%、油脂類13%と低い状況です。

政府は、食物自給率を向上させるために、農業生産性の向上、耕作放棄地の活用、地産地消の促進、食品ロスの削減など、様々な施策を推進しています。個人的にできることは限られていますが、少なくとも地産地消や食品ロス削減などは取り組んでいくべきだと思っています。
