The Role of Emphysema on Postoperative Prognosis in Early-Stage Nonsmall Cell Lung Cancer
早期非小細胞肺癌の術後予後における肺気腫の役割
背景
肺気腫は非小細胞肺癌(NSCLC)患者にとって一般的に予後不良因子と考えられているが、その予後不良が高度に悪性の腫瘍によるものなのか、それとも肺気腫自体によるものなのかは明らかではない。この研究は、早期段階の非小細胞肺癌患者における肺気腫の予後価値を明らかにすることを目的とした。
方法
2007年4月から2018年12月の間に完全切除を受けた臨床病期IAの非小細胞肺癌患者721名について、肺気腫に関連する臨床病理学的所見および予後を遡及的に分析した。
結果
肺気腫群および正常肺群はそれぞれ197名および524名。正常肺群と比較して、肺気腫群ではリンパ管侵襲(23.9%対14.1%、P = 0.003)、血管侵襲(37.6%対17.2%、P < 0.001)、および胸膜侵襲(18.8%対10.9%、P = 0.006)がより頻繁に観察された。さらに、5年全生存率は肺気腫群で低く(77.1%対91.4%、P < 0.001)、他の死因の累積発生率も肺気腫群で高かった(14.0%対3.50%、P < 0.001)。全生存率に関する多変量Cox回帰分析では、肺気腫(正常肺と比較して、ハザード比2.02、P = 0.0052)、年齢 > 70歳(70歳以下と比較して、ハザード比4.03、P < 0.001)、およびSUVmax > 1.8(≤ 1.8と比較して、ハザード比2.20、P = 0.0043)が独立した予後因子であることが示された。

結論
肺気腫を伴う早期段階の非小細胞肺癌は、高度に悪性の腫瘍の発展傾向がある。加えて、肺気腫自体も予後不良に影響を与える可能性がある。
