Asthma Updates: Theories Translated to Targeted Treatment
喘息の最新情報: 理論が標的治療に移行
喘息に関する研究は幸いにも進展を続けており、一部の分野では患者ケアと健康に直接結びつく進歩が見られる。『The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice (JACI In Practice)』の読者が、この喘息に関する特集号のテーマについて、私たちと同様に興味深く、重要であると感じるだけでなく、患者ケアをより深く理解するための直接的なつながりを見出すことを期待している。
SABA単独療法からICSを含む救急療法への転換
KringsとBeasleyは、喘息におけるベータ作動薬の慎重な使用を長年にわたり提唱してきた。この特集号では、彼らが「アレルギーの論争」というテーマで「現在の喘息管理におけるICSを含む救急療法とSABA単独療法の役割」という議論を展開している。彼らは、「短時間作用型β2作動薬（SABA）単独療法を喘息治療で使用しないべきとする国際喘息ガイドライン（Global Initiative for Asthma）の勧告は、近年の喘息管理における最も根本的なパラダイムシフトの一つである」と述べている。
SABAは長らく気管支痙攣を緩和するための伝統的な治療法とされてきたが、近年のデータでは、SABA単独療法が逆説的にリスクを増大させることが示されている。一方、ICS（吸入ステロイド）とベータ作動薬を組み合わせた療法は、急性症状に対して効果的かつ安全で、機序的に適した治療法として認められている。著者らは、炎症と気道狭窄の両方を同時に治療するために、ICSとベータ作動薬を組み合わせることが急性症状緩和において最も効果的であると結論付けている。しかし、「医療慣行の固定観念、コスト、規制の複雑さが、ICSを含む救急療法への移行の障壁となっている」と指摘している。
重症喘息におけるバイオ医薬品の役割
バイオ医薬品の登場は重症喘息の治療を根本的に変えました。これらの治療法は、従来の抗炎症薬（ステロイド）では完全に制御できなかった炎症経路を特異的に標的とすることで効果を発揮する。血中好酸球や呼気中一酸化窒素の測定などの生物学的マーカーを活用することで、T2（タイプ2）炎症パターンを有する患者を特定し、治療効果を予測することが可能になってきた。
Bourdinらの論文「広範な抗喘息バイオ医薬品時代における重症喘息のフェノタイピング」では、患者のフェノタイプを考慮し、治療選択を指導するための拡張型フェノタイプの概念を包括的にレビューしている。特にT2-低喘息への注目が高まっており、新しい治療法であるテゼペルマブの潜在的な利益についても議論されている。
微生物叢の役割と喘息管理への応用
微生物叢（マイクロバイオーム）が喘息の発症や病態に及ぼす影響は複雑で、部位（皮膚、腸、気道）によって異なる。KauとRosas-Salazarは、「人間の微生物叢の治療的標的化が喘息管理に影響を与えることができるか？」というテーマで賛否両論を議論している。微生物叢を喘息管理に活用する可能性についての科学的エビデンスを検討し、この分野がどの程度成熟しているかを評価している。
「治療可能な特性」アプローチ
喘息は炎症や重症度、治療反応性において多様性を持つ疾患である。この多様性を認識し、喘息のコントロールをより正確に目指すために「治療可能な特性（TT）」の概念が登場した。McDonaldらは「喘息における治療可能な特性：GERD、CRSwNP、アトピー性皮膚炎、うつ病/不安の重要性」という論文で、喘息の個別化治療への移行について説明している。
肥満と喘息
Foerらは「肥満関連喘息を持つ成人のための減量介入」というテーマで、食事、運動、バリアトリック手術、さらには抗肥満薬による治療の役割について議論しています。特に、GLP-1受容体作動薬（セマグルチド、リラグルチド）による体重減少の効果とその喘息への影響が注目されている。
全身性炎症の影響
Tattersallらは「喘息における全身性炎症：気道外でのリスクと影響」という論文で、喘息が全身的な炎症を引き起こし、神経系や心血管系疾患を含む他の疾患にどのように影響を与えるかについて論じている。
喘息寛解を目指す新たな治療目標
Menzies-Gowらは「喘息寛解を治療の次の目標として設定する」という論文で、バイオ医薬品の利用が疾患寛解の達成を現実的な目標とする可能性について議論している。
本特集号では、喘息の複雑さを解明し、より正確で効果的な治療アプローチを目指すための知見がまとめられている。喘息管理の進歩が患者の生活の質を向上させ、最終的には疾患予防への道を切り開くことを期待している。
管理人より；オープンアクセスなんのでご興味のある方は、是非、論文を読むことをお勧めします。
