Risk of incident chronic obstructive pulmonary disease during longitudinal follow-up in patients with nontuberculous mycobacterial pulmonary disease
非結核性抗酸菌性肺疾患の患者における縦断的フォローアップ中の慢性閉塞性肺疾患の発症リスク
背景：慢性閉塞性肺疾患に関する世界イニシアチブ2023年改訂版では、慢性閉塞性肺疾患（COPD）には、結核やヒト免疫不全ウイルスなどの感染症（COPD-I）を含むさまざまな病因があると提唱されている。非結核性抗酸菌性肺疾患（NTM-PD）と肺結核は臨床症状が類似しているが、NTM-PD患者の縦断的追跡調査中のCOPD発症に関する研究は限られている。本研究では、NTM-PD患者におけるCOPD発症の発生率とリスクを評価することを目的とした。
方法：1994年11月から2022年1月の間に、肺機能が正常なNTM-PD患者と、年齢、性別、BMI、喫煙状況が1:4にマッチした対照群を遡及的に登録した。スパイロメトリーで定義されたCOPDのリスクをNTM-PD群と対照群間で比較した（研究1）。結果を検証するために、健康保険請求データベースを使用した全国コホート研究が実施された (研究 2)。結果 研究 1 では、平均 3.3 年間の追跡期間中に、NTM-PD コホートと対応させた対照コホートの個人のそれぞれ 14.0% (241/1,715) と 4.3% (293/6,860) に COPD が発生した。NTM-PD コホートは、対応させた対照と比較して、COPD の発症リスクが高かった (調整ハザード比 [aHR]、2.57、95% CI、2.15～3.09)。研究 2 では、NTM-PD のある個人とない個人のそれぞれ 6.2% (24/386) と 2.5% (28/1,133) に COPD が発生した。 NTM-PD コホートは、マッチした対照群と比較して、COPD 発症リスクが高かった (aHR、2.04、95% CI、1.21～3.42)。
Cumulative incidence of COPD according to the presence or absence of NTM-PD in study 1 (NTM-PD cohort versus matched control cohort). Abbreviations: NTM-PD, nontuberculous mycobacterial pulmonary disease; COPD, chronic obstructive pulmonary disease
結論：これらの知見は、NTM-PD が COPD-I の新しい病因型と考えられることを示唆しており、NTM-PD 患者の肺機能をモニタリングすることの重要性を強調している。
