Severe Asthma Network Italy Definition of Clinical Remission in Severe Asthma: A Delphi Consensus
重症喘息における臨床的寛解の定義:イタリア重症喘息ネットワークによるデルファイ合意
要約:
- 喘息は最も広く普及している呼吸器疾患のひとつとして考えられている。
- 喘息患者の10%が重症であり、寛解を明確に定義する基準を明確にすることが極めて重要である。
- 一般的な寛解の概念やそれを定義する基準については、科学界の間で広く合意が得られているが、期間の概念、寛解中の治療の役割、および炎症の寛解の概念に関してはばらつきがが大きいといえる。
本研究は、デルファイ法*を用いて喘息の寛解に関する合意の重要性を強く訴えた。Severe Asthma Network Italyでは、57の重症喘息センターと2,200人以上の患者を対象として、6人の専門家の委員会が質問票の候補となるステートメントのリストを作成した。この質問票では、分析の第1ラウンド(R1)のために明確で一貫した文言を確保し、冗長性を最小限に抑えるために改訂された。R1質問票には32のステートメントが含まれ、その後、各ステートメントに関する合意を測定するために5点リカート尺度を使用して、80人の専門家パネルに提出された。その後、R1データの中間分析が行われ、アイテムが議論され、分析のラウンド2(R2)のために一貫した質問票を作成するため協議された。その後、委員会はR2質問票を設定し、重要なトピックのみが含まれるようにして、パネリストにR2質問票のステートメントに投票を求めた。
- 第2ラウンド(R2)の間に、完全な臨床的寛解の基準が確認された。経口ステロイドの必要性、症状、増悪または発作、および肺機能の安定性の欠如**がなくなる。
- 部分的な臨床的寛解の基準も確認された。これには、経口ステロイドの必要性の欠如、および以下の3つの基準のうち2つが含まれる:症状の欠如、増悪または発作の欠如、および肺の安定性の欠如。
このSevere Asthma Network Italy Delphi分析は、臨床医が寛解を特定するのを助ける独立した、貴重で、使いやすく、効果的なツールを作成するために設計されている。また、この研究で得られた結果は、医学界でのポピュラーな寛解の概念と合致していると考えられる。
管理人注:
*デルファイ法:科学技術の未来予測、政策策定、プログラムの評価、医療のガイドライン策定など、さまざまな分野で使用されています。この手法の利点は、広範な専門知識を持つ専門家からの意見を効果的に集約できること、そして専門家間の直接的な対話や議論を避けることで、偏見やグループ内の圧力を排除できることです。興味がある方は東京女子医科大学雑誌第88巻臨時増刊1号 (jst.go.jp)の論文を参照ください。
**肺機能の安定性の欠如:よく喘息やCOPD関連の論文で散見されるフレーズですが、いろいろな側面を包括して表現されていると思います。具体的には、呼吸困難、喘息増悪(発作)の頻度の増加、肺機能の変動、酸素飽和度の低下などが考えられます。
