Patterns and trends in asthma incidence rates in main Asian and Western countries and their prediction to 2030
アジア・欧米主要国における喘息罹患率のパターンと推移、および2030年までの予測
背景 :過去数十年間の東アジアおよび東南アジアの都市化と工業化は、生活環境とライフスタイルを大きく変え、喘息の負担に複雑な影響を及ぼしている可能性がある。我々の目的は、東アジアおよび東南アジアの主要6か国と西欧諸国の主要5か国における喘息発症率のパターンと傾向を調査し、さまざまな要因に起因する新規症例数を予測することである。
方法 :年間の喘息発症症例数と年齢グループ別の対応する人口に関するデータは、世界疾病負担データベースで入手可能な、中国、日本、韓国、シンガポール、フィリピン、タイを含む東アジアおよび東南アジアの主要6か国から収集した。また、比較の目的で、西欧諸国の主要高所得国のデータも収集した。 2030年までの喘息発症率を予測するため、COVID前(モデル1)とCOVID後(モデル2)のシナリオを表す2つの別々のベイズ年齢・期間・コホートモデルが構築された。結果モデル1では、2030年に喘息の年齢標準化発症率が最も高くなるのは米国(100,000人あたり1970.07、95%信頼区間[CI] 533.05~4455.03)で、発症率が最も低くなるのはシンガポール(100,000人あたり296.72、95% CI 135.16~899.55)となる。1990年から2030年の間には、中国とタイで喘息の発症率が増加すると予測されており、平均年間変化率(AAPC)は0.70%~1.80%の範囲となる。残りの4つのアジア諸国は減少傾向を示しており、AAPCは-0.51%から-2.00%の範囲であった。モデル2では、2030年には米国の年齢標準化発症率が最も高くなると推定され(100,000人あたり902.71、95% CI 375.44–2277.24)、韓国の発症率が最も低くなっていた(100,000人あたり176.46、95% CI 58.77–512.09)。喘息発症率はすべての国で減少し、全体的なAAPCは-3.42%から-0.42%の範囲であった。特に、2020年頃に転換点が見られ、その後発症率が大幅に低下した。


結論:パンデミック関連の要因により、喘息の発症率が一時的に低下する可能性がある。 COVID以前のシナリオ(モデル1)では喘息発症率が増加すると予想されており、依然として公衆衛生従事者の注意が必要であり、喘息の負担を軽減するための取り組みが求められる。
